実験4号

1987、ある闘いの真実の実験4号のレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
4.3
『タクシー運転手』よりももっと身近な、自分事のように思えて、後半、泣けて仕方なかった。
もちろん、自分事では全然ないのだけど、隣の国で、ソウル五輪の前年にこんなすごいことが起こっていたことを、当時も今も全く知らなかったことに衝撃を受けた。

『タクシー運転手』の感想でも書いたかもしれないけれど、韓国が好きで遊びに行ったり、韓国支社の同僚たちと仲良くしていて、韓国のことは知っている気になっていた自分が恥ずかしい。
仲の良い同僚たちはすでにこの映画の舞台となった時代には生まれていたことと思うと、改めて他人事ではない気がしてくる。

市井の人たち、学生すらも巻き込まれた。誰もが無視して暮らすことができないほどの身近な出来事だったことにも衝撃を受けた。

オリンピックはいつも素晴らしいけれど、開催国にとっては表の出来事なのかもしれない。東京五輪がそんなオリンピックにならないことを祈りたい。もうそうなりつつあるけれど。

ワールドカップなどで見る熱烈なサッカーの応援の仕方など、熱い韓国の応援スタイルの根幹が少し理解できた気もした。

こんなに多くの主要人物を出す群像劇なのに、ものすごく筋がわかりやすいし、流れがとても自然。
この過酷な真実をエンタメに昇華させて、国内でヒットさせてしまう韓国という国は本当にすごい。国民の政治への関心が日本とは全然違うのだろう。

エンタメとして見るもよし、自国の政治と比べて見るもよし、南北融和がいよいよ実現するかもしれない隣国の歴史に心を馳せて見るもよし。
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