みきちゃ

1987、ある闘いの真実のみきちゃのレビュー・感想・評価

1987、ある闘いの真実(2017年製作の映画)
4.2
時は1987年1月。悪名高い全斗煥軍事政権下。ソンガンホ兄貴主演の「タクシー運転手」で描かれた光州事件から7年後のこと。たったの7年じゃなくて、きっと長い長ーーーーーー……い7年間だったはず。韓国に新たに訪れた民主化への転換点は、一人の優秀な大学生の死だった。彼の死を巡ってそれぞれの立場で闘った人々の、熱い、熱い、群像劇。

個々のストーリーを追ってたらいつのまにか1つの大きなうねりになっていて、「その時歴史が動いた」感が迫ってきた。

知ってるお顔だらけの韓国映画オールスターなキャストからも、この映画に寄せた本気度が伝わってくる。私の120%妄想によると、映画のテーマをきかされた主役級の男優の皆さんが、俺もでたいそんなん俺もでたい俺も俺も俺も俺も∞ってなって、最後にソルギョングがいやそれなんでゆってくれへんかったん俺だって出たいやんかとなって、まじかよ流石にもう役も余ってへんけどでもソルギョングやで??と悩んだ製作陣がなんとかかんとか捩じ込んだ、みたいな感じかなと。知らんけど。

以下ネタバレ
=======





「お嬢さん」のキムテリがいたいけな女子大生役で出て来て、彼女の役どころが私には響いた。カンドンウォンの顔面に心持ってかれたキムテリがなんの心構えも無しに見せられて号泣したあのビデオこそ、まさに「タクシー運転手」でソンガンホとドイツ人カメラマンが命懸けで守り抜いた光州事件のビデオだったわけで。こんな点と点の繋ぎかたされたらもうグッとくるやん…。あの出来事が7年経ってもまだ多くの国民に知れ渡っていないこともわかるシーンで、ため息でた。

近年、韓国で光州事件を扱おうとした表現者には圧力がかかって実現するのも命懸けで、ソンガンホ兄貴も消されるとか噂されてたのに、いまや韓国映画オールスターなキャストで堂々と映画をとって大ヒットしちゃってるし、芸能をみるだけでも韓国の変化ぶりってすごい。めちゃくちゃ逞しい。
みきちゃ

みきちゃ