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がらくたヘリコプターのkyokoのレビュー・感想・評価

がらくたヘリコプター(2015年製作の映画)
3.5
TNLF2018@ユーロスペース

梱包材のプチプチを潰すのが暇つぶしになるのは世界共通だった!

1000キロ離れたところに住むおばあちゃんの家に柱時計を届けるロサ族の娘とその兄弟をモノクロで描いたロードムービー。
恥ずかしながらこの映画のあらすじを読むまでロサ族という民族のことを知らなかった。

もともとはジプシーのように定住地をもたず、ヨーロッパでは長い間差別や迫害を受けていたロサ民族。現在ではほとんどが定住しているにもかかわらずいまだ差別的な意識が根強いことは、旅の途中で出会う人々が彼らにスウェーデン語ではなく英語で話しかける様子からもわかる。
「ずっと動いているのにどこにも着けないものは何?」のなぞなぞや、おばあちゃんの夢の話など、そこかしこに暗喩されていた。

彼らはいちいち腹を立てることなく「スウェーデン語でどうぞ」といい、娘は美術館でロサの人々の写真(ユダヤ人同様にナチス政権に迫害されている?)を至極淡々とした様子で眺めている。若い世代のドライさが現代におけるロサ民族を象徴しているようで興味深いが、あるいは宿命に対する諦めのようなものなんだろうか。
そんな中でもちょっとおばかな弟に癒された。

音楽が評価されているみたいだけど、モノクロの乾いた画といつもエンドロール直前みたいな雰囲気を醸し出すオーケストラスコアの組み合わせは、私には違和感しかなかったな…
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