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ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのneroのレビュー・感想・評価

3.5
テイラー・シェリダン2本立てはヘビーだったなあ。

構造は前作同様、イリーガルヒットマン・アレハンドロとCIAエージェント・マックが仕掛けるメキシコ麻薬カルテルとの攻防戦だが、今作では少々肌触りが異なる。ある意味タクティクスとアクションに比重を置いたアナザーサイドという印象だ。
仕掛けた娘拉致作戦から四面楚歌展開まで、目まぐるしく変わる状況と、国家の思惑に翻弄された彼等が危地を脱する様は緊迫感たっぷり。カルテルの娘をキーに据えたことで、アレハンドロとマックに、前作とは異なり感情の動く余地を与えている。最後の展開では両者とも自身の良心に従ったように見えて、前作ほどのやりきれなさはない。

同時に、密入国マフィアに関わり闇に足を踏み入れる少年を配置している。アメリカ対カルテルの構図から個人の思いへと相対化する狙いなのだろうが、前作でのFBI女性捜査官ケイトのような強烈な葛藤感はなく、ただただベニチオ・デル・トロ無双感が強烈だった。
そしてメキシコの腐敗ぶりの強調も前作通り。本当にアメリカとケンカにならないか心配になっちまう。

ボーダーライン1&2 2本立にて
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