バートロー

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのバートローのレビュー・感想・評価

4.4
前作が「地獄の新入社員研修メキシコ編〜如何にして検事は修羅になったか〜」だとしたら今作は「誰も悪くない失態の尻拭い〜修羅は如何にして死神になったか〜」である。ベニシオ・デル・トロとジョシュ・ブローリンのおっさん二枚看板とテイラー・シェリダン脚本のパワーは主演エミリー・ブラント、監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ、撮影ロジャー・ディーキンス、音楽ヨハン・ヨハンソンという前作を語る上で紛れもなく要だった存在が外れた飛車角落ち状態をほとんど感じさせず、そのままの面白さとクオリティを保っているのは流石である。今作のキモは前作で麻薬カルテルをコントロールしていたつもりだったCIAの失態だ。マットの「ここにはルールはない、あるのは命令だけだ」は自分を刺す言葉となる。追う者だったはずの猟犬はカルテルに追われる者となるが、ただ追われるだけではないのがアレハンドロ。コカインよりも儲かる不法入国移民。2年間のトランプ政権で新たな局面に入ったアメリカvsメキシカンカルテル。とっくにモラルなど捨てたはずのおっさんがモラルに苦しむ様は最高だ。