まるちよ

ボーダーライン:ソルジャーズ・デイのまるちよのレビュー・感想・評価

2.2
前作に当たるボーダーラインを見ていないので何とも言えないけど、陸続きで国境のあるアメリカ人じゃないと伝わらないポイントがあると思う。
テロリストを密入国させてる(と思われる)メキシコの麻薬カルテルに対して、アメリカ政府が「なんでもあり」のモラル崩壊したでっちあげを行うという話。

いきなり冒頭から凄惨な自爆テロのシーンから始まる。
特にスーパーマーケットで命乞いをする親子が印象的で、この冒頭だけだと絶対悪は麻薬カルテル、そしてテロリストだと刷り込まれる。
でもその後すぐにアメリカ政府は状況が不確定なのに、「麻薬カルテルリーダーの娘さらってカルテル同士戦争させろ」という暴走とも言える作戦を決行する。
この時点で、見ていて「アメリカも大概だな」という印象を受ける。
要するにどっちもどっち。むしろ、アメリカ政府の描かれ方の方が悪者のようにも見える。

麻薬カルテルに家族を皆殺しにされたベニチオ・デル・トロと、グーニーズの兄ちゃんからサノスまでなんでもこなすジョシュ・ブローリンの2人が主役。なんだか濃いメンツ。
ベニチオ・デル・トロが復讐者、ジョシュ・ブローリンが体制側としてお互いコンビを組みながら話は進行するんだけど、双方の心に芽生えるのが復讐だけではなくていくばくかのヒューマニズムである、という点が見ていて煮えきらなかった。
ラストシーンでその気持は少し払拭されるんだけど、とにかく「この問題は解決しないんだな」ってストレートに伝わるのが国境間問題の根深さを感じられた。

衝撃的なシーンが多く、冒頭の自爆テロシーンを筆頭に荒れ地での処刑シーンなど淡々と残虐なシーンが続くのが印象的だった。
劇中に流れる曲も重苦しい重低音のみで構成されていて、とにかく暗い鬱屈した気分になる映画。

◆良いところ
- ベニチオ・デル・トロを久しぶりに見れる
- ノンフィクション映画のような淡々として描写

◆悪いところ
- 興味が無いと退屈な映画
- 歴史の勉強にはならない
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