いののん

マルクス・エンゲルスのいののんのレビュー・感想・評価

マルクス・エンゲルス(2017年製作の映画)
3.7
若き日のカール・マルクス



著書を1冊も、読んだことがないどころか、手に取ったことすらない。社会主義と共産主義との違いもようわからん。100分de名著の前身は「一週間de資本論」だった。 その放送と同じ頃に発売されたウチダ先生のマルクスについての対談本は、途中で放り出した。あ-、アタシは半端なままだ。


マルクスという名前は知っているがなんもわかっとらん。でも知りたいという気持ちはある。少しでも学べたら、今より思慮深く生きられる気がする。120分足らずの映画で、少しでもわかることができたらコレ幸いと、映画館へ。

そして観て思うことは、やっぱりわからない。たかだか120分足らずで理解出来るようなものではなかった。だけど、放り投げてあった本を再び手に取り読み始めたので、やはり観に行って良かったと思う。



森林。枯れ枝を拾い集める人々。その貧しい人々を、馬に乗った警官?たちが、さっそうとサーベルを振り下ろし、次々と制裁をくだしていく。いまや、枯れ枝を広い集めることも法律違反となったのだ。この容赦ない映像に、マルクスが書いた記事の朗読が重なる。落ちている枯れ枝も、森林所有者の「財産」で、それを拾い集めることはもはや「窃盗」にあたることとなった。いいのかそれで。


この映画の冒頭はとても良かったと思う。エンゲルスが、父が経営している紡績工場に於いて、劣悪な労働環境に不満を言い、啖呵を切って辞めていく娘と出会う。その一連の場面も良かった。でも、面白いと思ったのはここまでだったなあ。


妻とマルクスの関係とか、皮肉屋っぽいマルクスとか、何か考えさせられたような気にはなった。「正義者同盟」を、“(正義者同盟だって! ナニその名称! ダッサ!)” と不敵に笑い、名称変更作戦を画策した結果、見事に成功、やったぜ! みたいなところも流石です。ウケました。でも、全体的になんだか話が難しくて、映画としての面白みに欠けたと思います。冒頭の場面のように、様々な映像にマルクスの著述の朗読を重ねていく、という手法を軸に展開していったら、もっと私は映画に熱中できたし、マルクスという人物をもう少し、手でさわるような感覚として、知ることができたのにな、な、な、ナシゴレンが食べたい気分だす、暑いから。



*『ファントム・スレッド』でキノコ料理作ってたヴィッキー・クリープスが、マルクスの妻として登場。『息子のまなざし』のオリヴィエ・グルメも、マルクスに喧嘩売られるプルードンとして登場。つい最近観た映画で知ったお二人が登場して、テンションが上がりました。
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