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レゴ(R)ムービー2のRenのレビュー・感想・評価

レゴ(R)ムービー2(2019年製作の映画)
4.0
王道の続編として、観たいものが観られて大満足!世界観を拡張させてゲストキャラも増やして年月が経ったこともきちんと生かしており、人気にあやからず良い作品を作ろうという意識がちゃんと伝わってくる誠実な映画だった。

『トイ・ストーリー』シリーズ×劇場版「ドラえもん」。敵側に丸め込まれた仲間とそれを助ける主人公構造が「銀河超特急」や「ふしぎ風使い」を彷彿とさせる。 
冒頭の荒廃したディストピアは『マッドマックス 怒りのデス・ロード』、中盤のロードムービーはクリプラらしく『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』『ジュラシック・ワールド』へのオマージュ?
メタギャグも概ね冴えていた。ミュージカルに突っ込んだり、難解なSF設定を「よく分からねえけど」の一言で一蹴する潔さ。それだけでなく、本筋には関係の無いカメオも前作より格段に増えており、色々な名作を下地にしたエンタメとしても心から楽しめた。

自分と違うものへの理解・共存というテーマは一貫させながら、モチーフを「親子」から「兄妹」へと変えた点が、前作から数年後に語り直す物語としてひたすらに正しい。マクロに見れば自身のクリエイティブを無垢に殺される兄妹喧嘩の話だけど、ミクロに見たらちゃんと前作同様の自分/他者の話になっている。
洗脳や統一の怖さと不気味さをカラフルにポップに見せる中盤も楽しくて良いけど、やはりそれを経て訪れる「善悪の立場の転換」にハッとした。他人を「あなたはこんな人じゃないはず」と決めてかかることの暴力性の話になっていく。子どもも大人も分け隔てなく観るべき。前作を経てなお “普通の“ 者として生きるエメットが次第に染まっていくハラハラだけでも小さな子どもは何かを感じ取るはず。

「無秩序」が今作を語る上でひとつのキーワードでなっているように、色とりどりのカラフルなレゴブロックが無秩序に組み合わさっている色彩も見ものだった。右に左に振れまくる音楽もgood。

この映画を観た人全員が褒めるエンドロールももちろん素晴らしい。散々、ものづくりの素晴らしさを問うてきたこのシリーズが、最後の最後にこの映画を作り上げたクリエイター達にもこれ以上ない賛辞を送るのは、表現として最高だし何よりそれ自体が見せ場になっている。



《以下、微ネタバレ》










『LEGO(R)ムービー』に続きルールがちょっとむずい箇所があって、「レゴフィグ達が現実世界に飛ばされた際にも自力で動ける」ことに最後まであまりノれなかった。
『トイ・ストーリー』のように、人の目につかないところでは実際に動ける、という単純なルールではなく「普段は人間に操られているけどそれを自力で動いているように自覚してアクションする」という前提があるからこそ飲み込むのに時間がかかる。どこまでが彼ら自身の意志による行動なのか....。
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