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君が君で君だのmogのレビュー・感想・評価

君が君で君だ(2018年製作の映画)
4.1
これはすごい。

ちょっと頭いっちゃってるなあと思うんだけど30秒に一回くらい吹き出させてくれるおかげで気持ちが引かずに見ていける。そのうちギャグなのかシリアスなのかわかんなくなってくる。誰が正しいのかどころか正しいってなんだとか真剣に考えさせられてるとなんかバーカって言われてるような気もしてくる。最後までちょっと行っちゃいすぎてて頭おかしいんだけどちゃんと切ないし単に意外とシリアスな恋愛論にもなってるって以上のもっと複雑なメタ批評としても成立してるようでやっぱりギャグだし。参った。なんかまじめな解釈を語ったら負けな気がする。

ジョン・キャメロン・ミッチェルとかポール・トーマス・アンダーソンに通じるものがある。いやないか。舞城王太郎の小説を最初に読んだときに感じたなるほど小説でこういうやり方があるのかみたいなこういう映画ありかみたいな感じはある。いや阿部一重の小説の方が手法は近いか。異常さをグロテスクにデフォルメしながらリアリズムを装うみたいな。結局書き手の絶妙な距離感で辛うじて成立してるんだけどそこが微妙に鼻につく感じとかも似てるわ。

うっとりしてんじゃねーよばばあ、から始まる車の中のシーンのYouのウスバカゲロウか!は最高だったけどあれはアドリブかなあ。なんかこういう映画全体からちょっと浮き上がっちゃってるんだけどどうしてもこのテイク使わざるを得ないよね感は誰も知らないのYouのアントニオ猪木のくだりを思い出した。
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