KY

クレイジー・リッチ!のKYのレビュー・感想・評価

クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)
3.6
某東南アジアの映画館で鑑賞。シンガポールを舞台に不動産王の御曹司である恋人と、彼の裕福な一族との間で揺れながら本当の幸せを探す女性の葛藤を、アジア系キャストをメインに描いたハリウッド製全米No.1ラブコメディ。

・・・

全世界的に『アイデンティティに揺らぎのある作品』がヒットしている。今作もアメリカで生まれ育った移民2世を主人公にする事で、人種としてはアジア人キャストの映画ながらもアメリカ的ハリウッド映画的なアイデンティティで描かれる語り口が人種を超えたヒットになったのだろうか。

アメリカらしい媚びない強い女性主人公像はもちろん、ぶつける音楽もMadonnaとかPresleyとかColdplayあたりの白人音楽のカバーだったり、それでいて白人・アジア人以外の人種への目配せなのか主題歌でメキシコ系とアフリカ系のハーフのMiguelを起用してたり。

他にもマウンティング最上位にいてもおかしくない『NY在住女子』が東南アジアのセレブ達に見下されたり、NYではなく東南アジアでシンデレラ体験するという逆転現象も面白かった。

本人としては自覚のない自身のルーツが障害となってしまうという展開も、白人含め移民で構成されているアメリカだからこそ共感を与えられる展開として良かった。

ただ、金持ち設定がなんか尻すぼみに感じた。セレブの日常が当たり前のようにSNSで発信され報道される昨今、そこまで驚かされにくい。

観客は自家用ジェットで移動し、パーティーで超有名歌手を引っ張ってくる様なセレブの情報を当たり前に受信しているはずだ。

シンガポール観光映画としても魅力的だと思う半面、シンガポールというロケーションの限界を感じた。ビル郡なんて世界中の何処でも撮れるので、結局マリーナベイサンズ(ビルの上に船乗ってるやつ)にこれでもかと頼りすぎている。

二人が到着した時は『マーライオン越しのマリーナベイサンズ』、友人の結婚式は『マリーナベイサンズの真下でパーティ』、クライマックスは『マリーナベイサンズの船の中』。確かに絵になるし土地がないのはわかるが。。

個人的にはあえて欧米観客を突き放した麻雀演出、ファーストクラスとの対比の一般乗客の前でのプロポーズ、花嫁役にソノヤミズノさんを配置したからにはきちんと踊らせる所が良かった。
KY

KY