原題はCrazy Rich Asians
アジア人の端くれとして、成金東洋人を露悪的に茶化した居心地の悪い作品だったらどうしよ?という杞憂がほんの少しあったのですが、文字通り杞憂。
もちろん、そういったシニカルさは備えつつも、スマート且つクレバーな視点で語られる現代的なラブコメディで感心。
もちろん、フォーマットもジャンルも違えど、ブラックカルチャーにおける映画「ブラックパンサー」の功績と比肩して語られるべき一本。(ぬまがさワタリさんのAsians抜いたら、ブラックパンサーを邦題「パンサー」にしちゃうようなもんじゃん!という御指摘。笑いながらも同意)
そうなのよね。中国経済の活況により、ハリウッドでもチャイナマネーがぁーとか安易な論説が多いけれど、東洋社会だって、独自で豊かな歴史をこの惑星の上で長く刻んできたのだ。
そんな当たり前の事を西洋ナイズされてしまってる、いち日本人観客として教えられた感じがする。
そういったルーツへの誇りと愛のこもったアイロニーを交えつつ、それでも自分たちはこの世界(多分としてアメリカ合衆国という国)のまぎれもない一員でもある、という宣言も無理なく共存しているメッセージ性を巧みに映画に織り込んだ製作陣の手腕には拍手を贈りたい。
もちろん高度なストーリーテリングと観客をチャネリングさせる事に成功させている最大の要因は、実に見事なキャスト陣の功績。
けっしてゴージャスな美人ではないけれど、知性とユーモア、奥ゆかしさとガッツを備えた現代なシンデレラを演じたコンスタンス・ウーは人種を問わず女のコたちの憧れのヒロインになるはず。
最強の姑に相応しいミシェルヨーの圧倒的説得力。
MVPはもちろん、オークワフィナ。最高っ!ま、基本「主人公のマブダチ」キャラの出来がこの手のラブコメの成否を握っていると言って過言ではないのだけれど、オークワフィナは完勝でした。私が観た回では喋るたんびに観客の笑いを誘っていました。
どうしたって、当方男なんで、女性キャスト陣に目がいきがちですれけど、男性キャスト陣も良いですなー。ケンチョン!もっと出してよ!w
敢えて苦言を呈せば、ジェンマ・チャンのエピソードがあまり有機的に本編エピソードや主人公たちと絡まないので、浮いてしまっている事。ストーリーに違う視点をもたらす良い素材なんで、もっと上手く活かして欲しかったかな(続編あるということか、アレは)
あと、結婚式コメディ映画史上に残る挙式シーン。素敵ですね。劇場で拍手が起きてました。ただ可笑しいだけじゃなくて、そういった繊細な演出も丁寧にやっていたのも好印象。
あとあと、サントラ最高です!買います!