somaddesign

クレイジー・リッチ!のsomaddesignのレビュー・感想・評価

クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)
5.0
映画の出来はさておき、歴史的転換点を目撃しに行った感じ

:::::::::::

ニューヨーク大学で経済学を教えるでレイチェルは、恋人のニックが親友の結婚式に出席するのに付き添ってシンガポールへと向かった。初めてのアジア旅行への期待と、初めてニックの家族会うことに緊張していたレイチェルだったが、出発当日の空港で案内されたのはファーストクラス。ニックはシンガポールの不動産王の超有名一族の御曹司で、社交界の女性たちから熱い注目を集める人気の独身男だったのだ。
ハリウッドのメジャースタジオが、主要キャラや監督すべてにアジア系を起用して製作。全米ボックスオフィスの週末興収で3週連続第1位を記録し社会現象を巻き起こした。

:::::::::::

全米での歴史的大ヒットも日本ではコケ気味?
よく考えたら普段からオールアジア系の映画やドラマに慣れ親しんでるから、『アジア系云々〜』で煽られてもそそらないのも仕様が無い。

一見すると、今日び鼻じらむレベルのベッタベタなシンデレラストーリーで、設定だけが目新しいだけのドラマ性に欠けるラブコメに見えちゃう。

逆を言えば、今どきこんな超ド金満な富豪を白人で描くほうがリアリティに欠けるって事でもあるし、普段『狡猾で腹の底を見せない守銭奴』として描かれがちな東アジア系キャラが、ステレオタイプを逆手にまんまとド富豪生活を満喫して見せつける大ギャグが痛快。
日頃抑圧されがちな北米のアジア系アメリカ人や移民が、多く観客となって熱狂したのも納得。特に冒頭のエレノア(ミシェル・ヨー)の丁々発止のやり取りは、同じアジア人として痛快この上なかった😆(20年前くらい迄、劇中描かれたような嫌がらせは普通に聞いたことあるし)

図らずも「愛しのアイリーン」から立て続けに見たせいか、これまた『狂愛的な家族愛』の物語に見えた。いつエレノアが猟銃ぶっ放したり、ニックが「おま○ごーーー!」て叫び出しゃしないかドキドキしちゃう。

レイチェルとエレノアら女性陣が個人の幸せや、家族の伝統/背負うべき責務について自覚的で真摯に受け止めに葛藤するのに対して、男性陣のバカっぷりが酷くて面白い。特にニックの無自覚かつ無責任な楽観主義たるや。「おめー、何の説得プランもなくシンガポールに連れて帰んなよ!」「彼女の仕事ややり甲斐を何だと思ってるの?」等々……真にクレイジー・リッチなのは誰なのか嫌という程見せつけられて、後半イライラしてしょうがない。


「オーシャンズ8」で凄腕スリ師だったAwkwafinaがレイチェルの親友ペイク・リンで登場。彼女の登場シーンは全部面白かった!🤣
カタコトの変な英語を話す描かれ方が多い中で、流暢な英語で相手をやり込める口八丁キャラが「オーシャンズ8」に続いてホント革新的。
一方でペイク・リンの父親ウェイ・ムン演じるケン・チョンは、ド下ネタをカタコト英語でぶっ込んでくる『ザ・アジアン糞親父』を大熱演。偏見を逆手にギャグに昇華しちゃうのサスガ! 珍しく自慢の陰茎を出してないのもファミリー映画対応がちゃんとしてて安心しました。

「エクスマキナ」でアンドロイド・キョウコを演じたソノヤ・ミズノもニックの親友の新婦役で参加。「ラ・ラ・ランド」からNetflix「MANIAC」と、ここのところ活躍めざましい。いつもはミステリアスで無口なキャラが多いのに、今作だと超チャラいセレブ妻してて面白かった。


早くも続編が予定されてるそうで、確かに続きが気になる作りだった。
でも本編の続きより、ペイク・リン家のスピンオフが是非見たい!あの一家のヨーロッパ珍道中とか、清朝末期の中国にタイムスリップとか見てみたいよ!(*゚∀゚*)


79本目
somaddesign

somaddesign