みおこし

クレイジー・リッチ!のみおこしのレビュー・感想・評価

クレイジー・リッチ!(2018年製作の映画)
4.0
全米で大ヒット中の(ほぼ)オールアジア人キャストおよびスタッフの話題作。これだけさまざまな人種がフィーチャーされた作品ができるようになって、アジア人主演のハリウッド映画がなかったことは確かに意外。特にアメリカで生まれたアジア系の方々は、そんな状況に違和感を覚えて当然だなとつくづく感じる興味深い一作でした。
正直なところ、邦題からそんな重要なエッセンスの'Asians'が抜けて、日本版ポスターも婚活系ラブコメ感を醸し出しているのが何だか寂しいというのが本音です。でも多民族国家というわけでは無い日本人には、たしかにピンとこないテーマなのかなぁ...。

経済学の若き教授レイチェルが彼氏のニックの家族に会いに向かったシンガポールで巻き込まれる、壮絶なお家騒動を描いた新感覚のコメディドラマ...と簡単に一言でまとめられないくらいには、貧富の差や家柄、女性の働き方など、数多くの社会が抱える問題がテーマとして描かれていました。
次元を超えた裕福さを誇るニックの実家のヤン家。あっという間にニックがどんな相手を家に連れてくるのか情報が大拡散し、姑や祖母、さらには得体の知れない遠い親戚にまで知れ渡るレイチェルのあんなことこんなこと。いやー、もうたまったもんじゃ無い!(笑)
さらには御曹司ニックを射止めたのが庶民の女の子ということで、壮絶な嫌がらせに遭遇。閉鎖的な空間、限られた関係者だけの状況に突然飛び込むのって本当に辛いものですが、それがこれだけのスケールの一族の中だったら...と考えただけで、想像を絶します。もうどんなに相手が意中の人でも、こんな過酷な状況に晒されるんだったら冷めちゃいますよね!!!!(笑)

今や時の人となりつつあるコンスタンス・ウーが芯の強いレイチェル役を熱演。もうそれだけで女性としては共感するし、心から「負けるな!」と応援したくなっちゃいますね。
彼氏役のヘンリー・ゴールディング、親友役のオークワフィナ、そしてアストリッド役のジェンマ・チャンなど、脇を固める役者さんも皆さん本当に圧巻の演技。特に姑役のミシェル・ヨーは、カンフーを封印して挑んだハマり役。視線を投げかけられるだけで思わずヒヤッとする「氷の女王」っぷり、最高でした。
ラストの麻雀のシーンはもう感無量だったなぁ...!

オープニングからスタイリッシュだし、BGMもファッションもオシャレの極み。思わずシンガポールに旅行したくなるようなカメラワークにも目を奪われました。
期待以上に楽しめる素敵な作品だったので、是非みなさんも劇場でご覧あれ!
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