ももまま

万引き家族のももままのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

この作品を鑑賞して唐突に思い出したワードが、『脱構築』である。

学生殆どが単位取得と授業内容が難解であり厳しい人格であると評価していた神学の教授が私は割と好きだった(私には特定の信仰はない)。

彼がある日、黒板にデカデカと脱構築の文字を書き、その意味について語りだし、私はその授業にいたく感銘を受けたのだが、後年、その単語をどこで調べても彼のような解釈は出てこなかった。
彼は、自分の人生をかけて導いた哲学を語っていたらしい。

脱構築。

悪の要素の中にも、必ず善の要素が。
善の要素の中にも、必ず悪の要素が。

相反するものの中には、お互いの要素が入っているという概念を表すワードであるが、この言葉は捉える人が自分の人生の中でどのような意味づけをするのかが重要なのだと思う。

万引き家族。

社会的に見れば、犯罪者集団である。
生活状況も見るに耐えない貧困生活。
さぞかし悪い奴らだろう。
さぞかし惨めな生活を送っているだろう。

ところがひとたび物語に呑み込まれてみると、違う世界が見えてくる。

働けど働けど貧困が連鎖する社会状況に生きねばならない擬似両親。

虐待された親の元を離れ、自分で新たな『家族』を選択する幼女。

年金生活にたかられているようで、家族という心の拠り所を与えられ感謝して平穏な死を迎える老女。

性を売り物にする店で身体を晒しながらも、純愛に何よりも憧れる少女。

誰が彼らを断罪できるのか?
神か?
それとも、司法システムだろうか?

罪を被りながらも神のように他者を救った者はいなかったか?

子供を深く愛した泥棒はいなかったか?

真実とは何か?

社会が提供する3分ニュースの真実を疑ったことがあるか?

ニュースの真相を精査したことがあるか?

外観で幸不幸を判断してはいないか?

本当の幸福とは、家族とは何だろう?



そんなことが、映画のエンドロールを眺める心に去来していました。

それにしても演技陣のクオリティが半端ない映画でした(*´ω`*)