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万引き家族のERIのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.0
これまた一足お先に試写に行って来ました。パルムドール受賞、本当におめでとうございます!かっこいい。

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私が最初に是枝監督の作品に出会ったのは確か「ワンダフルライフ」だった。そこから心を掴まれ続けずっと観続けている監督です。そして「誰も知らない」を2004年だったか当時、わたしは上京した一人暮らしの家でひとり劇場で見逃したそれを、お昼から画面に釘付けになって見たことを今でも昨日のことのように覚えている。その日は映画の一つ一つが忘れられなくて夜、眠れなかったことも。

今回の「万引き家族」が日本で劇場公開をされる前に、パルムドール受賞のお祝いムードなので、普段映画を観ない人たちも観るきっかけになるのだろうな。

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さて本作を観終わり、感想を。真正面な作品でした。こうもど真ん中に家族って何だろうを描かれると言葉を失ってしまう。面白いという感想が的を得ていないようで表現が難しいのだけど、やっぱりとても好きです。そして、このタイトルを持って来たところに強さがあるなぁ、と。

監督が思考し続けているテーマや、見逃さない営みの一つ一つ、社会に対するまなざしがとても好き。血の繋がりや社会のルールにぽてっとこぼれ落ちるものがある。わたしたちは普段それに気づかずにどこか遠い話のように、見過ごしてしまっているのかもしれない。少なくとも私にはそんな風にみえて、なのに家族というこの世に生まれた全員に形は違えどあるそれに、共通するものをみて息が苦しくなった。


今回描かれる万引き家族は、おばあちゃんの暮らすお家に肩を寄せて暮らしている。当てにするのは年金で、ささやかなパートや日雇いの収入と万引きで食いつなぐ日々だ。そこに正しさばかりがあるかといったら、そんな事は無いのだけど家族だからといって正しく愛を受け取れなかったから、家族でない他人と家族のような愛で繋がろうとしていた。万引き家族とは対比として描かれる二つの家族があって、亜希のお家は建前ばかりだった。りんのお家は脆くて暴力があって。嗚呼、愛することが難しい。

安藤サクラさん演じる信代にやられまくりでした。この人の全てをお見通しの目に、何度も何度も泣かされる。説得力のある凄い女優さんだなぁ。抱きしめたくて、守りたくて、でも時間切れ。

そして祥太役の城かいりくんとりん役の佐々木みゆちゃんの存在感が素晴らしい。すでにメディアではいろんなことを言われているけれど、周りの大人たちはそっと育ててほしいものだよ。是枝監督は、本当に子役を撮るのがうまい。こんなにもそこにある混じり気のないものを魅せられたら愛しくてたまらない。

信代とりんがお風呂に入って見せ合った傷の跡。この次のシーンから、りんがとてもよく喋るようになって、そんな演出さえ愛で満たされる。もちろん、キャスト全員素晴らしかった。リリーさんや樹木希林さんのそこにいるだけで全てを語る佇まい。松岡茉優さんもきっとこれまでの役とは違う踏み込んだものだった。ちょっとずつしか登場しないけど脇の皆さんも素晴らしい面々。そして音楽は細野正臣さん。



家族、ってなんだろう。
私はしばらく考えてしまいそうだ。