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万引き家族のshurinのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.3
祖母の年金にたかり、まともな職に就かず、日用品が必要になれば万引きで賄い生きていくことで家族を形づくる「万引き家族」。父は息子に万引きのハウツーを教え、家族は盗んできた食材を囲んで団欒する。ある日、父が拾ってきた幼い少女によって、彼らの生活は少しずつ変化していく。

彼らは血が繋がっておらず本当の家族ではないのだが、これぞ家族と言わんばかりに彼らは愛で繋がっていた。万引きする人は本当にクソだと思うがこの映画を観てる間だけはそのことを忘れさせてくれと思っていた。
息子の祥太、彼はどんな家族を築いていくんだろう。「家で勉強できないやつが学校に行くんだ」という訳の分からない暴論に押し込められていた彼だが、そのまともな感受性ゆえにどん底家族の中でも唯一の希望の光だった。

キャラクター一人一人に複雑な思いと生きてきた背景があって言及していくとキリがないのだが、それ以前に社会で日々起きていることが何も見えていなかったことに気づかされた。街にある建物は人類が生まれた時から出来上がっていて、クリーニング屋に服を出したら何故か綺麗になって返ってくるわけじゃない。それらの裏には必ず人の働きがあって、そういう仕事をする人々それぞれに色んなストーリーがある。
社会には人の数だけ物語があるなんて、ちょっと受け止めきれない。

「実はすぐ目の前に不幸な人生があるかもしれないのに、私たちはそこにではプライバシーを尊重して感心をあまり抱かなくなっている」(『映像文化の社会学』)

家族をつなげるものって何だろう。