オーデュボン

万引き家族のオーデュボンのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.2
スイミー。

祖母の年金と万引きを頼りに、小さな家に暮らす家族。ある日、家の外に取り残された1人の少女を連れ帰る。すぐに家に帰そうとするも、ネグレクトや虐待を受けていることがわかり、6人目の家族として生活することになる。

個人的に今まで観た是枝作品で最も役者が自然な輝きを放っている作品だと感じた。特に、是枝組常連のリリーフランキーと樹木希林。あの役柄を演じるとなると、この2人以外には全く考えられない。また、安藤サクラの特に終盤にかけての演技、松岡茉優の表情だけで語る演技、子役2人の自然な演技は言わずもがな、この6人をいつまでも見ていたいと思わされる。脇役もかなり豪華で、池松壮亮の使い方などは贅沢すぎるほど。
タイトルにもある万引きという行為はこの家族の生活の一部にあるというだけで、大きなテーマとして描かれる訳ではない。それよりはむしろ、今まで是枝裕和が映画を通じて描いてきた「家族の血の繋がり」が全体に横たわっている。そこに今作では直接的な性の存在や、貧困、児童虐待など様々なテーマが混在する。それらに対して一つの正解を見出すというよりは、ありのままを切り取ったような映画だ。

過去作のとてもスマートな作りとは一線を画す新境地とも言える作品は、まさにパルムドールにふさわしい一本であることに疑いの余地はない。話が大きく展開したり、盛り上がることはないが、ハッとさせられる台詞や場面、撮影の数々にはこれまでの作品と同様極めて映画的なカタルシスが小さいながらもある。ラストで兄妹が見つめた視線の先に、明るい未来があることを心から祈ってしまう。それくらいのめり込み、そこに本当の家族が存在しているような映画だった。