KUBO

万引き家族のKUBOのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.0
あなたの家族は、この6人の「万引き家族」よりも幸せな家族と言えるだろうか?

5月13本目の試写会は、カンヌ映画祭パルムドール受賞で話題の是枝裕和監督作品「万引き家族」。

「家族」とはなんだろう?

是枝監督はこれまでも常に「家族」をテーマにした作品を撮り続けてきた。「そして父になる」では、産院で子どもを取り違えられた家族を、「海街Daily」では腹違いの妹が同居することになり4姉妹になった家族を描き、「家族と血のつながり」の関係を常に問い続けてきたのだ。

そして本作「万引き家族」では全員が血の繋がらない「擬似家族」だ。

生活は貧しい。土木作業やクリーニングなど低賃金労働をしながら、生活のために万引きをする。親子のコンビネーションで行われるそれはプロの技だ。

ただ貧しくとも彼らの家庭には常に賑やかな会話と笑いにあふれている。どのような関係で集ったのかもわからない7人が、貧しくても幸せそうに暮らすあばら家。

そこに虐待の跡がある幼女リンが加わるところから歯車が狂い始める…。

樹木希林、リリー・フランキー、安藤サクラなど日本最高の演技派、個性派俳優は期待通りの名演。特に今回私が注目したのは、是枝組初参戦の松岡茉優。「勝手にふるえてろ」で個人的に大ブレイクしたこの妹役 松岡茉優が、個性派ぞろいの「万引き家族」をつなぐ要になっていたように感じた。

是枝監督は、亡くなった親の年金をもらい続けていた家族がいた、という実際の事件にインスパイアされて本作を作ったと話していたが、見終わった感想から言うと、「万引き」も「年金」もただのつかみでしかない。是枝監督が描きたかったのは、あくまでも「家族」。

それぞれ過去に傷を持つ人々が、それぞれの素性を隠したまま、幸せに暮らした束の間の日々。子供や孫を持ちたかった老女、父に、母になりたかった男女、DVの待つ本当の父母のいる家に帰りたくなかった幼女。彼らの日々は嘘だったのか? そこに真実はなかったのか? 親子とは、家族とは、血の繋がりだけが唯一の絆なのか? それとも…。

最後に、カンヌのパルムドールである。「ザ・スクエア」「わたしは、ダニエル・ブレイク」「ディーパンの闘い」と並ぶ系譜である。わかりやすいはずがない。人も選ぶし、鑑賞眼も必要とされる。予告編から、ただなんとなくおもしろそうだ、と見に行くと「つまらね〜」とか言うやつも出てきそうだ。

それから、黒澤明、今村昌平と並んだわけで、是枝監督、スゲーなあ。でもきっと次もまた「家族」を描くんだろうな〜。