FARGO

万引き家族のFARGOのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.4
【東京の下町に暮らす、平凡で貧しい家族。一見どこにでもいそうな彼らは、「犯罪」で生計をたてひっそりと暮らしている。ある事件をきっかけに揺れ出す家族の様子を描いた人間ドラマ】

第71回カンヌ国際映画祭にて最高賞であるパルムードルを受賞。
約2年ぶりとなる日本作品の劇場鑑賞に加えて、初のFilmarks邦画レビュー作品となる今作🎬
先行上映最終日レイトショーで鑑賞しましたが、館内はほぼ満席❗️期待値メーターも振り切れんばかりに作動しておりました😃

【家族】

まず始めに、今作の評価抜きに「邦画作品だから…」とか「日本の映画は観ないんだよね」とか言ってる人は映画好きは語っちゃいけない。
CMや予告編を観るだけでも心が躍るし、泣けてくる。
先行上映に行けなかったとしても、是非劇場に足を運んで観ていただきたい一本です🙂

蜩の声、ラムネ瓶の音、 縁側の描写、夕暮れ時の雨、日本で生きる私達の日常をそのまま切り取った描写の数々は全てが美しい。それらに重ねて観客の胸に深く響く細野晴臣による抑制された音楽が静かな怒りを伝える。

子役の演技演出に定評がある監督の技量は今作でも惜しみなく発揮されていた印象。
と言うより、出てくる演者の演技と思えない自然な笑い方や野次の飛ばし方、家族間の会話などマンブルコア風の生活劇が非常に良かったです😊

ケイト・ブランシェットも賞賛した安藤サクラの演技。『百円の恋』で感じた頭一つ抜けた演技力に今作は更に拍車が掛かっていました。おそらくこれは、共演した松岡茉優、樹木希林にリリーフランキーの名演がそうさせたのでしょう❗️
役者達の名演技の呼応、卓越した演出、撮影、そして音楽。パルムードルが監督の手で輝く事が約束された鉄壁のチームワークにスタンディングオベーション👏

そんな本作「万引き」という題材を扱っていながら、劇中に「万引き」という言葉がほとんど出てこない脚本演出が非常に秀逸。今作が軽犯罪防止を謳っただけの安っぽい映画ではなく、「万引き」によって繋がれた人々の奇数な縁を描いた人間ドラマなのだと鑑賞中改めて感じました。

これから観る方は是非、初めて「万引き」というワードが今作に出てくるのが一体、どの場面で、誰が、どんな心境で発したのかを注目して観て頂きたいです😌

【裕福な家庭が必ずしも幸せとは限らない様に、貧乏な家庭が必ずしも惨めとは限らない】

今作のハッピーエンドとは何なのか…。
そんなものは今作に存在しないのか…。
ラスト彼らの行き着く未来に、今まで以上の幸せが待っているのか…。
ラストの彼女の瞳には一体何が写っているのだろう。何とも言えぬ余韻がしんみりと響き渡る傑作で御座いました🙇‍♂️

覚悟を決め、迫真の演技を披露した、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林、佐々木みゆちゃんに「私的ベストウーマン賞」です❗️
FARGO

FARGO