このポスターのみんなの笑顔。
非正規雇用の低所得世帯で、
仕事の合間に親子で万引き。
生活の基盤がグラッグラ。
なのについ
それを忘れて「家族」の生活に
見入ってしまう。ポスターのこの様子が
ずっと続いているんだもの…
電気代もったいないから
普段テレビ付けないのかな?
照明も薄暗くてムーディだし。
そこでしょうもない話を
わちゃわちゃしながら毎日一緒に
ご飯食べてる。
時間に限りのある映画だということは
分かっているのにずっと見ていたかった。
このままひとり、またひとり、
正社員になって安定した生活になって !
それでいいじゃん!って望んだ。
そんな訳にはいかないんですが。
信代がりんにあげる抱擁。
りんが信代にあげる、傷にヨシヨシ。
治が祥太にあげる、大人の階段の指南。
祥太が治にあげる、スイミーの話。
おばあちゃんが亜紀にあげる、
心の変化の気づき。
亜紀がおばあちゃんにあげる甘えんぼ。
あげる、もらう、グルグル。
それはそれは
もうスイートスイートホーム。
本当に、ずっとこれでいいじゃん
って祈るように観てました。
基盤の見直しは来るべくしてきますが
誰も声を荒らげたり
泣きわめいたりしない。
淡々と、進む、前に、
そう前に。
みんなそれぞれ賢くなっていて。
これからの彼らは自分で選ぶに違いない。
どっちが前かを。
安藤サクラの涙には
こちらの涙も搾り取られました。
反論なんて一言も述べず
対面に座ったあの女をボコボコに
打ちのめすほどの
母性がそこに溢れていました。