グラビティボルト

万引き家族のグラビティボルトのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
3.8
正直、冒頭タイトルが出るまでが一番面白い。視る/視られるのスリルに絶妙に遮蔽物として飛び込んでくるリリーフランキーが格好良い。
「盗む」というアクションをちゃんと正面から、かつ格好良く捉えてる(ケイパーに近い)。
後、少女との出逢いから「残酷な現実」を安藤サクラが説く面会室まで
フレーム外から音を入れて、そこからシーンを転がす演出が徹底してる。例えば、少女を発見してしまうきっかけである物音、ハイライトの花火、事件報道のテレビ、少年の物置から聴く大人達の会話〜ビー玉を落とす音、面会室でのリリーフランキーの顔など。

多分「家族」という形の中で生まれる距離感を演出してる。
一番幸福に見えた海以降、少年が大人達の会話(会話も突き詰めれば音だ)に違和感を持つ〜決定的なアクション(捕まってしまう)に繋がる作劇も巧み。
以降終盤は取り調べをひたすら切り返しで捉えていくんだがここは潔く役者に託してる(安藤サクラが!)。
只、序盤から面白いんだが終盤彼らが捕まって以降敢えて作劇を停滞させてる気がするのは気になる。「考えさせる」為だろうか?