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万引き家族のjjjkのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.8
パルムドールの受賞で予想以上に脚光を浴びてしまったけど、せっかくだからより多くの人に観てほしいと思える映画。

是枝作品といえば、どこまでもドキュメンタリックな作風が特徴だけど、今作は過去作以上にそれが顕著。貧困層の『家族』の生活をこのうえなく生々しく描き出す。ひとつひとつの描写が本当に生々しい。生だとか性だとか死だとか。この辺の日常描写が必要以上にシリアスだったりせず、ただそこにあるなにげない日常を切り取って見せるところが毎度のことだけど是枝作品は素晴らしいなあと。所々、劇場で笑いもおきていて、これが満員の観客の中で観る醍醐味だなあと嬉しくなった。

芸達者揃いのキャストの中で、一際素晴らしいのはやはり安藤サクラ。ひとつひとつの台詞回しだとか表情が、まったく演技に見えない凄さ。彼女が子供たちを見つめる目線の暖かさに何度もやられました。

この作品には余白が多い。それぞれの行動の動機だとか、関係性に謎を残したまま終わる。特に今作でも祥太とりんの目線で描かれる場面が多いが、子供たちが何を見て、何を考えているのか。そして登場人物たちのその後の人生を想像してしまう。何が正しくて、何が間違っているのかとか、家族の在り方だとかいろんなことを考えてしまうが、やはり一番印象的なのは、厳しい日常の中にも宿る楽しさとか、暖かさ。うーん、ごちゃごちゃ書いたけど上手く言えない!とにかくすごいものを観たなという実感。暫定今年ベストです。
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