くろ

万引き家族のくろのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

お手本になるような生き方ではないことが多い家族だけれど、貧しくても幸せに生きていけるのは、確かな絆がこのボロ平家の中に詰まっていたから。自分の中でとても大切な映画となった。

役者の演技が素晴らしく、とくに信代とりんちゃんのお風呂のシーンは、なぜか分からないが美しくて涙が止まらなかった。

「子供たちはあなたのことをなんて呼んでたんですか?」という問いかけに胸が詰まる。なんなんでしょうね、という言葉で、本当に大切なことへの問いかけや虚しさなど、全てを表現しきってしまった安藤サクラさんの演技には鳥肌がたった。
「呼び方なんてどうだっていいじゃないですか」と反論しなかったのは、「世間が認める家族」にとって呼び方は重要なんだと気付いているからこその、あの一言。とても切ない。

ラスト、塀の中から外を見つめるりんちゃんが、「コロッケ食べる?」と話しかけられたことから始まった宝物のような日々を一生忘れないことは確かだと思う。そう信じたい。

嘘ばっかりで、ツギハギだらけの家族だったけれど、何よりも強い絆があのボロ家にあった。なにも感じようとせずに観てしまうと、おそらく通り過ぎて終わってしまうと思う。それほどに繊細で美しい映画でした。
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