言及するにも気がひけるけれども、本作をめぐっての言説は左にしても右にしても愚かでしたね。
右にしろ左にしろ、テレビでやってるニュースにしろ何にせよそういう「大きな物語」に対抗しうる素晴らしい「小さな物語」で最高でした
もうこのキャストの座組からして、絶対に下手なことにならない安定の座組ですし、毎度のことすぎてもはや当たり前のようではありますが子役の演出が異常なリアリティである件ですとか、全体的な撮影にしても奇抜なことはしてないように見えるんですが、どうしてこうもしっとりとした質感になるんだろうっていう不思議な撮影技術ですし、劇中で出てくるルアー、ネクタイピン、ビニール袋、塩、マジックとかっていう度々出てくる「偽物」というモチーフやら、スイミーのくだりやら気が利いてて良くできてましたよ。
やってることは家族をめぐるいつもの是枝作品なんですけど、色々な部分で「これは空気人形っぽい」とか「三度目の殺人がここで活きてる」とか、過去作の取り組みが集大成的に色んなカットに反映されてて、オープンな終わり方とか含め「実は河瀬直美なんかより是枝監督はカンヌ狙いマンだったんやな...」と感心いたしましたわ。
まあ、そういう意味では「個人」よりも「社会」に目が向くようになってきてるし安易なエモさとかは意図的に排除してるんでね、個人的にガツンとくるようなもんでもなかったですが素晴らしい良作でしたね。
本当に素晴らしかったんで帰り道にうどん屋で万引きセットキメて来ましたよ。
