けーな

万引き家族のけーなのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
3.7
色々考えさせられる映画だった。「万引き家族」というタイトルなので、万引きがメインテーマなのかと思っていたが、児童虐待や年金の不正受給問題など、現実に起きている社会問題を複数取り上げている映画で、内容が濃かった。中でも、最近、児童虐待の陰惨な事件が実際に起きて、ニュースでたびたび目にしているところだったので、りんちゃんに関わるエピソードが、とても心に突き刺さった。

しかし、パルムドールを受賞したので、ものすごく期待してしまったせいもあり、実際、そこまで感動しないなぁと思ってしまったのも、事実。キャストの配役と演技は、実に見事で、安藤サクラの泣くシーンは、最高に素晴らしかったし、リリー・フランキーも、子役も、ちょっとだけ出てくる人達も、実に見事だった。しかしながら、テーマがいくつかあったためか、心が鷲掴みにされるほどではなかった。同じ是枝監督の「誰も知らない」と「そして父になる」の方が、強く心を鷲掴みにされたなと思う。しかし…

観終わってから、知ったことには、最後、バスの中で、翔太がつぶやく台詞が、映画では聞き取れないようになっているのだが、カンヌでは、そのセリフの訳が、字幕で表示され、それを観て観客が号泣したのだという。原作小説にも、そのセリフは書かれているらしい。映画を観た時には、翔太が何かをつぶやく、そのセリフを特に気にせず、スルーしていたのだが、そのセリフは、何だったのだろうかと、今、考えてみた。そして、それが、今、分かった。分かった瞬間に、ジーンと来た。
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