メランクさん

万引き家族のメランクさんのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

正直なところ、好みとしては前半のまま警察の介入なしでフィニッシュ決めてほしかったという思いはある。
要するに「誰も知らない」型ですね。

ただ後半に「きみはいい子」共演組(いい子組)の出現によって、「見えない人々」を世間から見えたときにどう見えるかがはっきりと見えてくることで観客側がハッとさせられることは間違いない。

リンはともかくその他の関係をぼやかすことで観客は当然その他の連中は血縁関係にあると思い込まされている。
しかしベールを剥ぎ取られたことにより、いかに血縁関係というものが意味をなさないかを思い知らされる。
さらに、「いい子組」が疑いようもなく押し付けてくる正しさの欺瞞性に気づく。
「いい子組」の執拗な「物語の押し付け」には完全な暴力性を感じるが、「いい子組」はあくまでそれに無自覚なのがたまらない。
地味ながらこのキャスティングすごい!

「三度目の殺人」もそうだが、単に社会の歪みにはまった人々を捉えるだけでなく、そこにミステリー的な要素を絡めてきている。
ファルハディ作品に近づきつつあるのかもしれない。