贅沢なんだろうなと、ふと思う。
自身の境遇より、優れたものを見て、嫉妬して、欲しくなる。
それは誰しもが持ってる欲だと思うのですが、それを実際に盗むかどうかは、大きな一線がある。
百個あるものから一個を盗むのと、
一個のものから一個を盗むのと、
盗られた人の「痛み」は違うのでしょう。
盗む事で、誰かが死んだり、壊れたり、潰れなければ、少なくとも、盗む側は生きることが出来て、幸せになれるのだから。
ましてや、他人が捨てたものを拾うことが、何が悪いのか。
この家族には、そんな判断基準があったように思います。
やってる行為は悪だと思うのに、背景を理解出来ずに尋問する警察や、批判するメディアのように、断罪することも出来なくて。でも心の中では、理解してあげることは出来なくて。
モヤモヤというよりは、上手く言い表せないもどかしさのような、そんな感動がありました。
あの最後の夏の日に、お婆ちゃんが口にした、「口には出せない感謝の言葉」
あの最後の夏の日に、母親が言いきれなかった悔しさと涙。
継ぎ接ぎだらけの家族なのに、その在り方を模索しつつ、「家族」になろうとする姿が、そっと胸に残る作品です。