TaiRa

万引き家族のTaiRaのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
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是枝裕和のスケベさが出てて良い。女好きが透けて見える。自然主義な芝居を突き詰めて社会問題を映すニッポン・ネオリアリズモ。

『そして父になる』で家族と血を描いた事の発展型。血縁でなく犯罪による利害関係で結ばれた家族。万引きをする冒頭場面が良い。人から見られていない場所、瞬間を見計らう。彼らの存在は社会から無視されている。この家族は「棄てられた」人々の集まりだ。虐待された子も独居老人も死ぬまで世間から相手にされない。それを救うのが犯罪であれば、愛のない通りすがりの正論で糾弾される。法の範囲内で救う道が無いと分かっていても。『誰も知らない』の先にある話でもある。この家族は確かに存在するが社会からは存在しない。音だけが聞こえる花火のように。そして大人たちは順番に退場して行く。行き止まりまで行ってしまった人間は戻れない。だが子供たちは簡単に大人を超えて行く。物語の最後には希望もないが絶望もない。彼らは束の間の幸福を頼りに生きていけるかもしれないのだから。
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