意味とか定義とか具体性のあるものとかになるだけが目的じゃないんだ、なんだって。
大事なものがわかるってのが生きていくときにいちばん最後に自分を救う方法だと思っていたけど形にならず、悶々としてたところにこの作品が転がり込んできてよかったなと思います。
何かが始まり、大事なことに気付ける物語が作れる人はやっぱり偉大で、それに救われることもあれば嫉妬することもある。
自分の奥深くがざわついて席から立つのに時間がかかって、帰り道の新宿の雑踏はいやに周りの声が耳に入ってきて、手をぶらぶらさせながら歩くのが億劫でずっと腕を組んで歩いた。顔をくしゃくしゃ撫でたり、意味もなく振り返ったり、背筋を伸ばすのをやめたりしながら帰るしかなくて、このやり場のない鋭い感覚をどうすればいいのかついに作品を観終わってからわからないまま。
でもね、花火の音だけ聴こえるように過ごしたあの人たちが、教えたり伝えたりできることなんか本当は何にもないのに何かを教えたかった伝えたかったあの人たちが、それぞれのつながりがなんなのかちゃんとわかってたから悲しくて泣いたり呆けたりしたあの人たちが、スクリーンに現れるたび僕は愛しくて愛しくてたまらなくて涙がボロボロ出た。
そんな感じの作品です。