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万引き家族のchaooonのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.3
見終わった後に魂を持って行かれたような、何とも言えない虚脱感と余韻の残る作品でした。力を入れたら泣き出しそう感じ…。

ストーリーもキャストも目の離せない巧みさ。途中演技ということを忘れるくらい。樹木希林の一挙一動にインパクトのある存在感。安藤サクラにはホントに凄い…この方をちゃんと見るのは初めてだっただけに脱帽。子役2人には涙しかない。。。

社会的規範からすると、彼らの行いや関係性は真っ当ではなく、決して正しいものではなかったけれど、間違っていなかったと思いたい絆があった。
血縁、婚姻、戸籍、確かな形はなくても、そこには思いやりとか安堵とか、偽りや飾りのない笑顔とか、慈しみや優しい眼差しがあって。彼ら1人1人の不遇を思うと仮初めでもこの幸せが続いて欲しいなと祈るように見ている自分がいた。

ただその仮初めの幸せさえも第三者の言葉で全て偽りだったかのように揺らいでしまう、それ程に曖昧で朧げな家族。
ああ切ない。。。

少年がバスの中で声なく呟いた、あの言葉。
少女がアパートの柵の隙間から送る眼差し。
確かにそこに家族と絆があったことの証だと思う。。。
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