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万引き家族のmilagrosのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.1
あの家族はある種のユートピアだった。血とかいう胡散臭いものじゃなくて、寂しさとお金の必要性から生まれる、切実なつながり。だから前半に積み重ねられる畳の上での団らんは、リアルかつ心に迫るものがある。
でも、リリーと安藤サクラは「お父さん」「お母さん」と呼ばれることに憧れていて、そこに昔ながらの家族への捨てきれない憧憬が残ってる。
もうそれは限界なんだと、是枝監督ははっきりと告げる。高いマンションに囲まれたあの家は、これまで日本映画が描いてきた家族の最後の残滓だろう。
金でも、絆でも、どちらかだけでは解決できない矛盾をあの家族は体現していた。彼らにどう反応するのか、観客が問われている。
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