幕のリア

万引き家族の幕のリアのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
3.9
家族とはお互いを慈しむ事が出来れば成り立つのか。
現代の社会問題をこれ見よがしに盛るのではなく、誰にでも起こり得る感情を導き出せるよう絶妙に配置されたプロットがまず有り、名優達が様々な色の縦糸と横糸を一本ずつ手織りするかのように唯一無二の柄に仕立て上げていた。

強靭な母性の前では、どうしても男の思慮の浅さが浮き彫りにされてしまうようで堪らなく悲しいが、密かな決意を心に灯らせてくれる作品でもあるのは救い。

見事なラストカットは余韻をどこまでも響かせるのに充分。
安直に不穏さや感動を煽らない音楽も素晴らしく余韻引きずるエンドロールも座り応え有り。
細野晴臣の映画音楽本を先日購入したところで得心しきり、その製作過程も気になるところ。

唯一、タイトルのキャッチーさとタイトル文字の素っ気なさが勿体無かった。
小津安作品的な簡素なワードの方がスパイスが効いたかもしれない。


2018劇場鑑賞54本目
幕のリア

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