冒頭ちょっとわざとらしい感じがするのと、体感時間がだらだら長くてトイレに行きたくなるけど、ある程度展開が読める割には緊張感の持続するいい映画だった。
ある一家の一年の暮らしを描いた話で、特に大きな事件はない。人が死んだり警察に捕まったりはあるけど。
この一家の存在自体がサスペンスなんだよな。血の繋がった親子ではなさそうだということは割と早い時間にわかる。下の子は連れてきちゃう場面があるし、男の子も(最初女の子かと思った )行動見てたらわかるんで。
他のメンバーも皆秘密があるんだよな。お姉ちゃんの両親は果たして薄々気がついていたのかどうか。多分彼女も幸せではなかったのだろう。
ばあちゃん年金もらっていたけど、これ旦那とは法的には別れてなかったってことなん? 後妻の子の家にも仏壇あるけど。
で多分、大人2人とばあちゃんの間にも血縁関係はない? 元地上げ屋が言っていた息子さんってのはリリーのことじゃないんだよな? つかあの元地上げ屋がいるんだから、ばあちゃんはいなかったとか言ってても時間の問題なんだよなあ。
万引きで生計立てていると言っても、全くそれだけってことじゃなくて、男の方は日雇いで働いてるし、女はクリーニング工場で働いている。でも生活が厳しいから(2人とも途中で失業してしまう )食料品や日用品は万引きをして、余った金で海に行ったりとかさ。家の中には物がいっぱいで、現代の貧乏ってこういう感じなんだなと。元はそれなりの文化程度のある家だったんだと思うよ。襖には松の絵が描かれてましたし。
ちょっとだけ柄本明が出てくるけど、この人むちゃくちゃ重要な役やね。この人から声をかけられたことで、男の子の中には疑念が生じて、後半の展開に繋がっていく。鮮やかなくらいそこでぱっきり分かれている。
安藤サクラ演じる母親がよい。教養は多分ないけど誰よりもまともな感覚と思いやりを持ってるんじゃないかな。彼女も多分虐待されたりしてきたのだろう。
そしてあの、誰も幸せになれないまとめかたさ… 変な答えみたいなものがないのが逆によいと思う(あの女の子の母親の豹変っぷり!)。
リリー・フランキー演じる男が受刑しないで施設暮らしになった男の子と会えたりしてるのはちょっと不思議なんですが。