パンナコッタ

万引き家族のパンナコッタのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.2
警察側に糾弾された「万引き家族」の供述。ファーストインプレッションでは信代の訴えより警察側が滑稽に映る。たとえ、マイノリティーで倫理的でないとしても、その規範を世間的なもの(外)と照らし合わせ剥ぎ取ろうとすることに家族を追っている私は違和感を感じてしまうからだ。
しかし、これで終わらないのが面白い。供述が真に迫り共同体の内部が綻ぶ瞬間。今日から「おじさん」になってしまうその瞬間だ。仲間の連携を題材にしたスイミーがいい伏線。ラストのシーケンスでバスからおじさんをみた視線は外からなのか?内からなのか?

ゆりと治を背に画面中央海岸沿いを横切るように歩く祥太。それはヴィムヴェンダースを思い出させるようなショットでパルムドールの近き縁を感じた。

(追記)
もしかして『万引き家族』って、新しい家族の形態が社会の中でどのように位置付けられるかっていう仮説のもと作られた映画なんじゃないかと思ってきた。
そういう個人が社会によって敗北していくというのはフィッツジェラルドのギャッビー的な一種の流れがあるけど、ある意味それを汲んでるんじゃないか。もちろん、『タクシードライバー』も結果が幾分裏返しではあるが変わらない。