あゆみ

万引き家族のあゆみのネタバレレビュー・内容・結末

万引き家族(2018年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

なんて今という時代を掬い上げた作品だろう。ため息がでた。この瞬間も、理不尽な暴力や貧困、逃げ場のない現実と戦っている人がいる。
その柵は決して高くないよ。あなたは本当に大切にされるべき個人なんだよ。何だっていいから、強く生き抜いてほしい。まだ狭い世界に生きる小さな子どもたちに、手を差しのべられる社会になるように、どうか一人でも多くの人に届きますように。

「子どもには母親が必要だって、母親がそう思いたいだけだ」
「誰かが捨てたものを拾ったんだ」
取り調べのシーンでは、最初、頭の固いただの正論に対して「家族のかたちはそれぞれで、あなたが知ってることだけが正解でも全てでもない!」と安藤サクラ側に立って反論しそうになっていた。が、取り調べが進むにつれ、新たな事実、全く別の一面が見えてくる。
どちらか一方に寄せることなく、あくまでも冷静に多面的に提示する是枝監督の手腕に改めて感動した。

しかしこれだけ演技派の俳優が集まる中でも、たったひと言で強烈な余韻を残していく柄本明はやはり偉大だな。声、表情、指先、間合い、表現しうるすべてでやりきれない人間味を放っていた。
また観たいなぁ。子どもは駄菓子屋のある街で育つといいなぁ。
あゆみ

あゆみ