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万引き家族のkonoesakutaのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.4
なんでこの映画がパルムドールなのか全くわからない。この映画はパルムドールなんぞ獲らずにいてほしかった。上映されてからジワジワと話題になるとか、DVD化されてから「この作品よく知らないで借りたけど、観てよかったー」なんて鑑賞のされ方をしてほしかった。そして是枝大好きな方々が「今回はこんな感じで撮ったんだねえ」なんてムフムフ言いながらsage進行でいってほしかった。

是枝監督がこれからもっともっとメジャーフィールドに行ってしまうのがなんだか寂しいのかな。

もうすでに十分メジャーな方なのだが。

なんて私のわがままは置いておいて。

家族のあり方について描くのだが。

とにかく遠景がきれいできれいで。リリーとショウタが夜の駐車場で鬼ごっこもどきをしてた場面はとても良くって。他にもきれいな遠景がたくさんあって。

で、今度は近景について。このお宅の全員の顔芸がすさまじくて。全員。よくもここまで全員がどアップにされている中で印象的な演技をするもんだなと。

安藤サクラの、諦めに似たような気だるさを帯びた演技や顔芸にはもう参ってしまう。いやいや他の人の魅力も素晴らしかった。

ストーリーなんて予想できるし大した起伏もないし。

でも是枝監督が役者の能力を引き出したというか、お互いに引き出しあったというか、そこには感服する。

そして、ここで終わるしかないというところでエンドロールに入った瞬間。さすがの終わり方だなと感傷に浸り、とっとと席を立って退場する人たちのうるささに殺意を覚える。いや殺意は覚えない。ただ、いい仕事をしている細野晴臣の音楽に浸りたかった。

とりあえず映画館の帰り道のイオンでコロッケは買った。うちにカレーうどんのカップ麺はある。

是枝監督は今までの受賞歴にかかわらず、本作のパルムドール受賞にもかかわらず、マイペースで本作のような佳作を作り続けてほしい。なんて偉そうにいう自分が恥ずかしい。