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万引き家族のpirokoのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
3.8
『万引き家族』の先行上映を観てきた。

鑑賞後ふいに"宿り木"という言葉が脳裏に浮かんだ。どうしようもない現実の自分をそのままに受け入れてくれた、昔の"宿り木"の数々を思い出しながら帰った。。あの頃の関係性が今は無くとも、その思い出が心に残るとき、そういうのは自分の中での"家族"なのかも。

そんな事を思いながら。。是枝監督の過去作『海よりもまだ深く』を観た頃の自分を思い出していた。二作とも、ふわりと誘われるように鑑賞したけれど、今作もまた樹木希林が"諦観の念"を纏っていて、どハマりだった。彼の作品は、孤独でズタボロな心をそっと包み込むのに丁度良い。

"ほんものの家族"がずっと分からなくて
"ほんものの家族"の中ではどこか孤独で、自分の中での"ほんものの家族"像をずっと探してきたような人生において、そういう自分が(戸籍上の)新たな家族をつくるということが、どんな意味を持つのか。なかなか重ならぬ理想と現実に思い巡らすには良き映画だ。

戸籍なんかよりも、
心の絆の方がとても大事で。
ずっと戸籍を結ぶ意味が分からなかったけれど案外新しい家族をつくってみると、
これまでとは違った心持ちになるのだな、と感じている。
人は近しい"家族"のような関係性においては、細かな面が見える分だけアンビバレントな心情を抱きやすい気がする。
 
ゆらゆら、とする感情が
絶妙に描かれていて秀逸だ。
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