是枝さんは、家族を撮るのがめちゃくちゃ上手くて「家族にできちゃう」のだけど、それを今回はぶっ壊していた。自分で、作った家族を話の中で壊していく。
家族は仲がいいものであり、離れることのできないものという前提があるような。
本当は、仲がいいから離れがたい、離れたくなくなるもののはずだ。それが逆転している。
でもその前提に、主人公たちも縛られている気がした。
もし、「空間を共有している人の集まり」を家族と呼んでいたら、自分たちに一番合う家族の距離感を発明できたら、
弱いつながりが続けられたのだろうかとか、弱いつながりをたくさん持てたんじゃないかとハッピーエンドを考えてしまう。
そもそも、それ以外の問題もたくさんあるので一概には言えないけれど。
その人が過去にしてきたことで、昨日まで自分にしてくれていたやさしさが嘘になるなんてことあるのかな。
ないと思うな。
ないと思ってほしかった。