『万引き家族』
心の池に岩を投げ込んでくるような映画。嫌が応にも波紋が広がり、気持ちが波立つ。
「上手くいった事なんて一度もなかった」と苦々しい笑い顔で答える治。
正しい手順で真っ当な人生を送れなかった人達はどうすれば良いのだろう。
正しさが人を救えない時どうすれば良かったのだろうか。
分からない…。
特に際立っていたのは劇中の女性達の強かさだった。
悲惨でどん底の状況にあって、彼女達は姑息に、卑怯に、生きていく事を諦めていなかった。
たとえ真っ当な人の喜びとは違うものをよすがにしようとも。
"生きている"事は何にも増して正しい。希望は無くとも喜びあう事はできるのだから。そう思った。