鰯

万引き家族の鰯のレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.2
クリーピー的なものの怖さ

老婆の住む家で、年金と万引きで生活を何とか維持する家族。ある日、寒い夜に戸外で遊んでいた少女を見かねて連れ帰ったことから、家族の関係に変化が現れる

全然感動しませんでした。むしろ感じたのは、「クリーピー的なもの」の怖さです。連れ帰った女の子にも万引きをさせる。子どもは何となくウチとヨソの違いに気づき始めるけど、抜け出すのも難しい。家族「のようなもの」が、愛情だけでできるはずもなく、実利と一体となって何とか維持されているということがよくわかる。
万引きが犯罪だということは重々承知の上で、そこまでしないと生きられない人がいることを理解しないといけないと思いました。

安藤サクラさんの演技には驚愕。何ですかこの艶めかしさと芯の強さ。特に素晴らしかったのは、女の子を帰そうとするシーン、そうめんのシーン、パート先での同僚との会話シーンです。真顔で話したときのこわさと、ふと見せる緩んだ表情にはノックアウトされました
池松壮亮さんも出番が少なかったけれど、強烈に印象に残りました。セリフもほとんどないのに、何かわかる説得力。
鰯