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万引き家族のcherryのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.0
映画館がものすごく混んでいてびっくりした。一人で映画を観に行ったのは2回目だったけど、意外といいなぁと思った。
観ておきたいと思っていた作品。画面に映るキャストが全員豪華だった。冒頭から万引きをする姿が描かれ、緊張感があってドキドキしながらも、ほっこりする場面とのバランスが丁度良かった。

やっぱり子役の子たちの演技が良かった。目線で不安に感じていることとかがすごく伝わってくる。
数ヶ月を過ごした後に、りんちゃんが祥太と遊んでいるシーンは、すごく和やかな雰囲気に包まれていて、それだけで安心した気持ちになった。元気に話す姿が、走り回る姿が、それまでのシーンからは想像出来てなくて、本当に良かったという気持ちになった。

あと樹木希林の、食べ物を口に含むその仕草だけでも感情がそこにつまっている感じがした。食べるのではなくて、口に含む感じ。ちょっとした行動一つ一つにも、今感じていることが入り込んでいる感じがして、そこがまた、彼女に見入ってしまう理由だと思った。

そして駄菓子屋のおじいちゃんを柄本明が演じていたけど、ある時、彼が祥太とりんちゃんへ向けて言うセリフがすごく記憶に残っている。その場では祥太は、りんちゃんとただ家に向かって歩くだけだけど、きっと歩いてる途中でも何度もその言葉を繰り返し考えて、考えていたのだろうと思った。
リリーフランキー演じる父親にそれを伝えるのは、あっさりとした場面だったけどかなり印象的だった。

でもやっぱり、一番良かったのは安藤サクラの演技。彼女の言うセリフの威力が凄い。その言い回しからではなくて、彼女が言うからこその場面が多くあって、素敵な女優さんだと改めて感じた。
とにかく素敵な場面、印象的なセリフが今作にはたくさんあって、挙げたらキリがないくらいだった。

花火の音に家族が集まる。それは自然な光景で、よくありそうなものだけど、でもそんな光景があるのは住宅街に囲まれたその家、その家族だけだった。遠くから撮った映像がそれを引き立てているのが良かった。

結局はそうなるんだと思うラストが、どこか腑に落ちてしまうラストが、ただただつらかった。
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