カエル

万引き家族のカエルのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
3.8
予告編をみてた段階だと
万引きを生業にする家族をちょっと面白く描いたのかなって思ってました。

全然違った。

見終わった後無言になった。
ぐるぐる色々考えた。

社会的にみると落ちこぼれな人々
一応仕事はしているけれど決して高給ではない。
家も狭くてモノに溢れてて清潔感もない。

でも
なんだかんだとお互いを思いやる心がみえる
そのあったかさが本物か、方法が正しいのか、それは、一般的には正しくないことなのかもしれない。

万引き家族は
祖母、父、母、娘(妹)、息子、娘の6人家族
どういう経緯で集まった6人なのか
映画の中でわかることとわからないことがある。
わかることは、彼らがお互いを支えあっていること。

経済的に余裕がある家庭と経済的な余裕がない家庭。

経済的に余裕がある家庭でも幸せを感じられない人もいることをちゃんと描いてある。

でも彼女はおばあちゃんのことどう思っていくのだろうか。

この映画。
初めていく映画館でみた。
ミッドタウン日比谷の映画館。

ここで『万引き家族』をみてる人々は
私の前の人、隣の人、後ろの人、劇場にいる人々は
こういう家族とはリアルには縁がない人の方が多いんだろうなぁって
映画をみながらぼーっと思ってました。

わたし自身、いまの生活は、経済的に余裕がある部類。

ただ、あんまり裕福ではない親戚や知り合いはいるし
家がこの万引き家族みたいな状態の同級生の記憶もある。
おそらく裕福な知り合いや親戚もいる。

地方出身だからかな。
もともとあんまり裕福な地域じゃない出身だからかな。
貧困層とそれ以外、お金持ちと貧乏人がぐちゃっとしてたからかな。
映画をみてて、こういう感じの家に住んでた同級生いたなぁって既視感を覚えた。
遊びに行ったことあるなぁって思い出してた。


万引きは犯罪。
もちろん悪いこと。
でも、映画みながら、生きるためにそうなってしまった人の立場でみてる自分がいた。

今、わたしは正社員で毎月定期収入がある。
でもずっと続くかどうかの保証はない。
自分もいつそっち側にいくかわからない。

終盤、警察署でのシーンは
正論つきつけられて
そうじゃない...そうじゃないんだ。
この人たちはそんなに悪いことしようと思ってしてるわけじゃない。
悪くないんだ。
いや、悪いことなのか。
でも、でも、違うんだよ。
いやそうなのかもしれない...

辛かった。

わたしはこの映画
辛くなった。

心がぎゅっとなった。

ちょっと前にみた『ヤクザと憲法』を見終わったあとと同じ気分になった。

それから『秘密と嘘』っていう映画も思い出した。
あ、『秘密と嘘』もカンヌでパルムドール賞とってたみたい。
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