機内にて
寄せ集めの家族
世間からは決してほめられることのない人たち。
しかし、彼らの間には笑いが絶えない。
彼らに限らず、どんな悲惨な状況の人々も笑いながら生きている。
この映画を観ながら、私はヨ―ロッパ各地に散らばっているロマの人々を思い浮かべていた。
子供のうちからかっぱらいを生業として、現地の人々や旅行者に忌み嫌われている彼ら。
あの人たちにも家族や共同体はあり、愛し合い、笑いながら生きているのだろう。
話をこの作品に戻すと、現代社会に渦巻く数々の負の部分を、見事にひとつの家族に集約させているのだと思う。
是枝監督の手腕の見事さ。
そして私たちの想像に委ねる、なんとなくすっきりしない終わりかたもいつものこと。
ラストでバスに乗った男の子を追いかける偽父親と、それに振り返ることなくまっすぐ前を見つめる男の子の強い瞳。
反して幼い女の子はこの先ずっと、可愛い洋服を買ってくれる優しい(?)母親と暮らすのだろうか?