このレビューはネタバレを含みます
僕が最近の日本映画に求めていることが簡潔に描かれてる。
要するに、
怒鳴るな!
イカレるな!
泣きわめくな!
ずっと静かに続いている。それだけで安心して観れる。
観ながらかの立川談志の名言を思い出した。
「親子なんて本来他人ですよ。血が濃いだなんだって言って無理矢理引っ付けてるだけでね。血が繋がってるのが良いなら小さんの倅があんなまずくなるわけねぇんだ」
安藤サクラと松岡茉優のキッチントークが個人的には白眉。演技が自然すぎると自分があのキッチンにいるみたいに錯覚するね。
物事の良い面と悪い面。見てた面と見たくなかった面。どちらが本当の彼らだったのか。あの場所に居心地の良さを感じてた自分は正しかったのか。間違ってたのか。
騙されていたと絶望しながらも、アキがあの家の様子を見に行ったのは、自分があの日々に郷愁を感じるかどうか確かめたかったからなんだろうなぁ……。
ただこの手の映画の苦手なとこは「観客になにかを感じさせたり、考えさせたり」することが目的だから、登場人物に深入りすると彼ら一人一人がどうなったかは具体的に描いてくれないので大きなモヤモヤを抱えることになるということで……。
ローマみたいに「あぁ、もう大丈夫だな」と思わせることが無理な題材だからまぁ、しゃーないか。