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万引き家族のkarmapoliceのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.0
是枝裕和監督、リリー・フランキー、安藤サクラ主演、2018年作品。

「本当の家族なんて何処にも無い」

観終わってけっこう落ち込んだ。

好きとは言い難い世界観。それもその筈、家族を主題に次々に描かれる社会の闇。でも衝撃的で目が離せなかった。前半は全員が血縁関係にない疑似家族である柴田家の暮らしぶり。初めて観る光景の筈が、どこか昭和初期のような懐かしさすら感じる程に、ほのぼのとした光景。深い事情を抱えた人ばかりが、自分の居場所を見付けたかのように暮らしている。

しかし犯罪家族の幸せはそう長くは続かない。祥太がつかまり、逃げようとする一家。悲しい現実だ。

警察役の池脇千鶴に尋問される安藤サクラの回答に、言葉にならない演技に、痺れるものがあった。素晴らしいキャストの名演の中、このシーンだけでなく安藤サクラは特に全編素晴らしい演技で引っ張っていると思う。

BGM無しのリアリティある演出の中、時折流れるミニマルでアコースティックな細野晴臣の音楽もさりげなく良かった。

問題提起して鑑賞者に解釈を委ねる部分はあるものの、予想以上に一定の解決や決着を着けている作品でもあるので、観易い印象もあると思う。しかし考え深いテーマばかりで、是枝監督作品はいつものように、他の人のレビューが凄く気になる。
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