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万引き家族のmotioのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.7
期待以上に素晴らしい映画でした。

家で観る時は、トイレに立ったり、食べ物や飲み物を用意したりで、なんだかんだ一時停止をしてしまうのですが、この映画はだれる事なく最後まで引き込まれて、観賞後は充足感に包まれました。

色々なテーマが織り込まれていて、一つ一つに言及する文章力はないので、良かったとしか言えないのですが、ごちゃごちゃする事なく観られて、本当に良い作品でした。

ジーンとするシーンはあるものの、前面に押し出されて上滑りする事も、扇情的に心をかきみだされたりもせず、丁寧に自然に描かれているので、観ていて心地よかったです。

心情の描きかたも多面的かつ重層的で、人の持つ必然的な複雑さがリアリティーを感じさせてくれて、こちらも観ていて充足感がありました。

住んでいる国の文化には毎日触れているだけに、細かい表情やテンポ、声の調子、書き言葉と話言葉の違いなど、どうしても自然さとの差異が目につきやすくて、日本人の演技に厳しくなってしまい、邦画よりも洋画を手にする機会が多いのですが、リリー フランキーや安藤サクラの演技は特に素晴らしくて、もっと邦画も観たいと思わされました。



信代の言う「おつりがくる」生活は、社会の底の方に沈殿している澱みの中の煌めきで、その光に触れた者の心には、澄んだ気持ちを生まれさせる。はっきりと言葉にして伝えるのは、気恥ずかしいけれど。