海

万引き家族の海のレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
-
わたしとあなた。それが幾重にも重なって、家族も歴史も社会も成り立ってる。キャンプとジャンプ。どっちでもいいじゃない、知っていることで本当のことなんて肌の色くらいしかないくせに何でも「わかる」って口頭で、賢い振りして馬鹿なんだ、傷つけてる。同じ匂いの髪の毛をぴったり重ねて、鏡の前でゆらゆら揺れて、宝石って言われてるだけで本当はただの石ころのぼくら、ひぐらしと通り雨、知ってる?ビー玉ってできそこないの球体なんだよ、やぶけたところは縫って、縫ったところには手をおいて、塩をなめて、おまじない。ひざのうえにあたまを、そのわたしのひざのうえにあなたのあたまを、何度も何度もそれをやって、そうやっていただけ、つながってただけだよ。古い家の縁側から夜空を見上げるこのひとたちを、わたしたちは見下ろしていたね。耳たぶに、鼻先に、まぶたの裏に、舌の上に、残って消えない。できそこないの中に、一度きりの海があった。わたしとあなた。ふたり、同じくらいだけ苦しくても、やっぱりわたしのほうがいつも少しだけ楽なんだよ。だからあなたをぎゅっと、こうやって抱きしめてあげる

2019/5/24

LINEをおぼえたばかりのおじいちゃんから、定期的に花の写真が送られてくる。「げんきだよあったこうなつたらあそびにおいで」。わたしはあと何回、母の日を一年で一番大切にできるだろう。あと何回、「おかえり」と鳴く猫たちに「ただいま」と返事ができるだろう。そんなことを考えて、からだ中が痛かった。夜中になるとときどき、そんなことばかり考えて泣いてしまう。あのときの、くるしいけど大切な気持ちだった。
わたしたちは時間の流れに乗せられて、そのひとつひとつの波が限られたものだと知っていながらも、眠たくなったり眠たくならなかったりして何度も無駄にし続ける。一分一秒でも長く、あなたと生きたい。わたしはそれを大切にしたい。その想いを大切にしたい。