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万引き家族のOhuのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
3.6
誰しも帰る家があり、そこで同じ時を過ごし同じ釜の飯を食う。シンプルな日常のなかで自然に育まれ、やがて情へと直結して行く。共感出来る相手が居る心の拠り所。家族の定義とは形はどうあれ、互いを思い遣るコミュニケーションが取れているかどうか。家族と碌に会話もせず、自宅がただの寝床と化している人からしてみれば、この家族はどんなに幸せに映るのだろうか。とか鑑賞中は色々と考えさせられましたが、幼少期に物心ついたときから不仲だった両親の離婚劇を体験した身としては、もう懲り懲りです。能面顔の安藤サクラさんから放たれる言ったら殺す砲はなかなかインパクトがありましたし、取調室のより洋服を焼くシーンのフェードアウト前の表情とかも良かったんですが、不思議とどれも自分には響きませんでした。リリーフランキーもどこか捨て切れていない部分が邪魔をしていて自然体さがなく、主演二人のぎくしゃくした感じのレベルが合っているのかどうか悩むところでした。子役らも頑張っていましたが、罪悪感を感じながらも犯罪に手を染めるときのギラギラした目力が足りなかったように思います(柄本明さんの助け船がなければ正直微妙でした)キャスティングも完璧とは言えず、殊に松岡茉優、高良健吾、池脇千鶴辺りは完全に浮いてみえました。樹木希林さんの板に付いた演技は言わずもがな、立て膝ついてカップ麺食らうとこと浜辺でのシーンは素晴らしかったです。ご冥福をお祈りします。
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