しめじろー

万引き家族のしめじろーのレビュー・感想・評価

万引き家族(2018年製作の映画)
4.3
私は捨てる側の人間です。拾う側の人間じゃない。キャパシティが小さくてとても拾えない。冷たいのです。拾う側の人間というのは捨てられた側の気持ちに寄り添える人間です。誰かが捨てたから拾うのです。拾うということは与えることでもある。尊敬に値すると思います。
池脇千鶴は捨てる側の人間なのでしょう。というか社会全体が捨てる側になっている気がします。拾うなんてあなた遺失物等横領罪ですよと、指摘するのは簡単ですが、じゃあ捨てられたものはどうすればいいのか。弱者を切り捨てる自己責任論が横行する中、かなりストレートなメッセージが込められている映画でした。

社会からあぶれた者たちが肩を寄せ合い暮らす家。あまりに刹那的な生活は、崩壊が避けられないことは明白ですが、それが能動的に訪れることが意外でした。救いと言っていいんでしょうか。いろんな要素の詰まったとても考えさせられる内容ですが、流れる時間は穏やかで、どんな立場の人が見てもそれぞれお土産を持って帰れる映画だと思います。