「私は捨ててはいない、拾ったんだ」
「拾った」と訴えても、世間的に見ればその行為は“誘拐”にほかならない。「捨てたんじゃないです。誰かが捨てたのを拾ったんです」と訴える信代の言葉が胸に突き刺さります。
産んだら母親なのか……
本当の家族って何だろう。絆って何だろう。
血のつながっていない共同体……
彼らは犯罪でしか繋がれなかったのだろうか。
他人の子供を連れ帰るのは犯罪だけれど、この家族は犯罪者なのか。子供は誘拐された可愛そうな被害者なのだろうか。
社会のルールに従い、子供たちは親元に返されたり施設に送られることになるが、それが本当に子どもたちにとって幸せなのか。
「現実社会」に帰された女の子は、結局帰っても両親に見向きもされずに「捨てられた」ような状態で団地の廊下で独りで遊んでいる。
直接の血の繋がりより、共に過した幸せな時間こそが家族を結びつける。深い話だった。